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永瀬武志 個展 「祈り 遊び」

2013年11月1日(金)-11月16日(土) 14:00-19:00 (土-12:00-19:00) 日・月 ・祝休廊


“複数、生きている” アクリル、キャンバス 116.7×116.7cm

美術作品は、その時代の社会情勢や環境を常に反映しながらつくられてきました。
現代の作家にとっても「この時代に生きている」ということは作品に大きく影響を及ぼしています。

永瀬武志(1979年埼玉県生まれ、2004年多摩美術大学大学院修了)はエアブラシを使用し、写真的リアリティーを保ちながらも、絵画でしかありえない密度と質感をもつ作品を制作しています。過去の展示では、透明感のある繊細な描写によって女性の顔や花などをモチーフにした作品を発表してきました。

2011年6月以来2年5か月ぶりの個展となる本展にあたって、永瀬の制作に向かう姿勢には大きな変化がみられました。

 

2011年3月11日、東日本大震災。
そのあと、今まで通りの制作はできないなと思いました。ここ数年描いてきた絵は、モチーフは変わっても、通奏低音として、明るい光があり、ある種の幸福感があったと思っています。それを無邪気に発展させるのは違うと。そしてそれまでは描こうとは思わなかった、山中でのいくつかの写真を、今こそ描きたいと思いました。
取り掛かった作品が『複数、生きている』です。朽ちた樹に生える苔。大きな何かに間借りして生きている、複数の小さいものたち。そこに希望を見出せるのではないか。

 

作品は以前にはない荘厳で霊的なムードを纏うことになりました。また、永瀬は制作中「偶像化」という言葉を意識したと言います。


「朽ちた樹に苔が生えている」ことを何かの象徴として「偶像化」しようとしているかもしれないと考えました。偶像は祈る対象としてあるので、自分の制作態度は仏師のそれに近いのではないか。また、祈っている状態そのものでもあると。何かを偶像化してしまうのは、困難に直面したときの、とても人間らしい心のありようだと思います。

 

永瀬は震災後、「自分は絵で何を提示するのか」を愚直なまでに模索し続け、2年半の歳月を懸け、大作2点をはじめとする本展出品作を完成させました。
現代を生きる画家の、生にむけられた視点から紡ぎだされた絵画を、ぜひご高覧下さい。